医療コラム

インシデントとは一体何か!?分かりやすく医療従事者が説明します!

こんにちは!なおです!
このブログでは『心を軽くする考え方』『医療』『リハビリ』の3つを柱に情報発信を行っています。

ブログを通しあなたの人生を少しでも良い方向に変えていけるような“お手伝い”が出来るようになることが最大の目標です!是非、参考にして頂きながら今よりも良い毎日を歩んで下さい!

なお
なお
今回は、インシデントとは一体何か!?というお題で医療従事者が詳しく解説していきます。

本日のお題は『インシデントとは一体に何か』に関して記事を書いていきます。

インシデントは、医療現場で起きる医療事故のことです。
内容は、小さい医療事故から大きい医療事故まで様々存在します。

医療事故は、一瞬の判断違いで容易に起きてしまうものです。

今回は、医療現場で起きている医療事故に関して具体的な事例を取り上げながらご紹介していきたいと思います。この機会にどんなことがインシデントなのか。どんなことがアクシデントなのか。を知って頂ければと思います。

医療現場で働いている医療従事者の方や医療のことを学んでいる医療系学生さんにおすすめの記事になります。

自分が医療事故を起こしてしまわないように細心の注意を行っていきましょう。
医療事故を起こしてしまうことによって訴訟や職場で働けなくなってしまうリスクが存在し人生の一生を棒に振ってしまう可能性もあります。

どんなことが事故に繋がるのか。
それを知って頂けるだけで医療事故は未然に防いで行けるようになります。

是非、最後まで目を通してみてください!
そして、参考にして頂きながら気を抜くことなく毎日の業務に専念して頂ければと思います!

インシデントとは一体何か!?分かりやすく医療従事者が説明します!


インシデントとは一体何か。早速、ご紹介していきたいと思います。
言葉の意味に関してはWeblio辞書さんから引用させて頂きます。

インシデントとは

ちょっとした異変という程度で済んだが、もしかするとおおごとに発展していたかもしれなかった出来事。

あわや大惨事となっていた可能性もあった事態、一歩間違えていたら本格的にヤバかった状況、という意味合いで用いられる表現。

とあります。

概ね、同意義語にヒヤリ・ハットという言葉もあります。
ヒヤリ・ハットとは

ヒヤリハットには人間の不注意・誤認・判断ミスといった過ちが事故の要因になる(可能性があった)という状況を指す意味で用いられる場合が多い。

とされています。

さらにヒヤリ・ハット、インシデントの上にアクシデントと言うものが存在します。

では、次にアクシデントとはどのようなことをさすのか!?
これについてもweblio辞書さんから引用させて頂きました。
アクシデントとは

「不慮の事故」「不意に発生する災難」といった意味の語であり、事故・災難・損害が(規模はどうであれ)実際に生じてしまった状況が念頭に置かれているといえる。

とあります。

繰り返しになりますがインシデントはアクシデントに至る前段階の意味で医療現場では用いられます。

では、実際、インシデント・アクシデントをどのように分類していくか。
その事象の大きさを分類として、まとめてあるものがあります。

このインシデント・アクシデントの分類は一般的にどの病院でも用いられているものになります。

この機会に知って頂き是非、参考にして頂ければと思います。
仮に自分がインシデント、アクシデントを起こしてしまった時に、どの程度の事故なのかを以下の表で当てはめることができます。

インシデントレベル

レベル0 間違ったことが発生したが、患者には実施されなかった。
レベル1 間違ったことを実施したが、患者に変化は生じなかった。またはその場の対処ですみ、今後に影響を及ぼさないと考えられる。
レベル2 生命に異常はないが今後経過観察を要し、検査の必要性が出た。緊急の治療は必要なかった。

アクシデントレベル

レベル3 事故により生命に異常はないが、緊急の治療処置が必要となった。入院の日数が増加した。
レベル4 事故により生命への影響が強い。患者に障害が残った。
レベル5 事故が死因となった。

に分けられます。

これらをもとに各病院の委員会で再発防止対策を考えたり、スタッフへの情報共有をおこなったり、医療訴訟に備え準備をしたりしていきます。

では、実際、上記の分類に当てはめながら実際の事象に対しての再発防止策などを考えていきたいと思います。

実際に医療現場で起こっている医療事故を紹介

では、実際に医療現場で起こっている医療事故に関して、いくつか取り上げていきたいと思います。

どれも実際に現場で起きているものです。
自分がインシデント、アクシデントをなるべく起こさないようにする為にも実際のインシデント・アクシデントを知ることは大きな事故を防ぐことにもつながります。

是非、目を通してみてください!

事象1

入院患者Aさんはリハビリを受けていた。
リハビリ中、リハビリスッタフBさんが入院患者Aさんから目を離し遠くにある歩行器具を取りに行っていた。

その間に入院患者Aさんはバランスを崩し前方へ転倒。
床に顔面をうちつけた。リハビリスタッフBさんは、他のスタッフと協力しベッド上に寝かせバイタル測定、痛みの有無、顔面の観察を行なった。
大きなキズはなく、内出血もなし。バイタル変動も大きく変化を呈していなかった。
主治医、病棟看護師に報告。その後の検査で問題なし、経過観察となる。

【解説】
上記はリハビリ中に起きたインシデントですね。
基本的には、患者さんから目を離すことはNGかと思います。
インシデントレベルとしてはレベル2となります。
ここでのポイントは治療は要さなかったが検査と経過観察を必要としたことにあります。

事象2

入院患者Cさん。重度の認知症がある方である。常に見守りや行動を抑制する為の器具を取り付ける必要があった。
看護師Dさんは、入院患者Cさんをベッドに寝かせた。看護師Dさんは行動を抑制する為の手袋をつけ忘れてしまった。
時間が経ち再度入院患者Cさんのもとにいくと、点滴が全て抜けていた。
特に目立つ出血はなく、主治医に報告後、再度点滴を留置するよう指示がでた。

【解説】
上記も病院に勤めていれば、あるあるのインシデントかと思います。
人間完璧ではありません。多忙な業務の中で動いているとついつい忘れてしまうことがあります。
インシデントレベルとしてはレベル1となります。
ここでのポイントは、出血がなく再度点滴を入れ直すだけで済んでいるところになります。

事象3

この事象は引用事象です。
実際に法廷で審議された事象となります。
H14.6.28 東京地裁から

入院していたEさん。看護師Fさんに付き添われながら椅子座位での姿勢でリハビリを行なっていた。看護師Fさんが入院患者Eさんから離れたところ、入院患者Eさんは看護師Fさんの指示に反して立ち上がり、後方へ転倒。その結果、Eさんは頭部打撲と硬膜下出血による脳硬化で死亡した。

【解説】
事象1であげた転倒に関する最悪のパターンですね。実際に起きている死亡例です。
このレベルまで達するとアクシデントレベルのレベル5となります。
これのポイントは言うまでもなく、医療者側の過失で死亡事故に繋がってしまっていることです。

判決はもちろん看護師Fさんの義務違反とされ病院側に損害賠償請求となっております。



事象4

入院患者Gさん。看護師Hさんが入浴介助を行なっていた。
Gさんは普段椅子に座っている分には安定して座れていた。

この日はシャワーを浴びる為にシャワーチェアーに腰をかけていた。
看護師Hさんは身体を拭くタオルを取りにGさんのもとから離れた。

看護師Hさんが離れた数秒後、浴室から「きゃー」という声が聞こえた。
看護師Hさんが浴室に戻るとシャワーチェアーから滑るように落ちている入院患者Gさんを発見。

数名のスタッフで引き上げて、対処。身体には打撲痕、腫脹を認めていた。主治医に連絡。レントゲン撮影を行なった結果骨折が判明。
整形外科的に処置が必要となり入院日の延長が余儀なくされた。

【解説】
入浴中の転倒事故ですね。
このような転倒に関するものは、どちらにも責任があるように感じますが、病院に入院している以上は医療者側が徹底的に患者さんのことを管理をしていかなければなりません。

そのため、転倒に関しては全責任、医療者側にあると言っても過言ではありません。
このレベルはアクシデントレベルです。アクシデントレベルのレベル3に該当します。

ポイントは怪我をして入院日が伸びたというところにあります。

事象5

この事象も引用事象です。
実際に法廷で審議された事象となります。
H18.1.23 東京地裁から

入院患者Iさん。冠動脈バイパス術などの後に病院においてリハビリを受けていたが、高度な後遺障害が残ってしまった。

【解説】
術後における後遺障害に関する事故ですね。
これに関しては、長い間、後遺障害を伴っていく可能性があります。
アクシデントレベルとしてはレベル4に該当します。

ポイントはやはり後遺障害が残ってしまったところにあります。

ただ、この裁判の結果は、リハビリによって後遺障害が残ったと言い切る事ができず、不起訴処分となっております。

医療事故は一瞬の油断で引き起こされてしまいます


いかがだったでしょうか!?
インシデントとは一体何か!?分かりやすく医療従事者が説明します!と題して記事をまとめてきました。

なお
なお
医療事故は一瞬の油断で引き起こされてしまいます。常に緊張感を持ち医療現場では働いていく必要性があります。

上記にあげた事象はほんの一部で、誤薬や点滴の落とすスピードを間違えた、シャント側で血圧を測ってしまったなど、あげればキリがないくらいインシデント・アクシデントが存在します。

医療従事者となったら、自分の身は自分で守っていかなければなりませんし人の命を預かっている以上、責任を重く問われることになります。

一瞬の気の緩みが大きな事故に繋がってしまいます。
常に神経を張り巡らせて、最前に注意を払っていく必要性があります。

また、軽いインシデントやヒヤリ・ハットを起こした際は、そのままにせずレポートに残していくことは非常に重要となります。

軽いインシデント、ヒヤリ・ハットを見過ごしていけば最終的には大きなアクシデントに繋がる可能性があるからです。

忙しい業務の中、インシデントレポートやヒヤリ・ハットレポート、アクシデントレポートは書きたくありませんが、自分でやってしまったことです。仕方ありません。それを見過ごしてしまえば、いずれ大きなアクシデントに繋がってしまう可能性もあります。

なお
なお
大きなアクシデントは懲戒解雇処分、資格剥奪にも繋がりかねないので注意が必要です。

病院に勤務されていない方々に関しても、どのような事故が現場で起きているのかを知って頂く良い機会だったのではないでしょうか?

病院以外でもヒヤリ・ハット、インシデント、アクシデントというものは起きうるものです。

日々、医療従事者は重大なインシデント・アクシデントが起きないように最善の努力をして患者さんの前に立って行かなければなりません。

医療従事者の方は常に気を引き締めて仕事を行っていきましょう!

安全・安心の医療を提供できるように頑張っていきましょう!

以上、本日のブログでした。
このブログでは医療のこと、心を軽くする方法、リハビリのことに関して記事を書いています。

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