医療コラム

高次脳機能障害の症状を詳しく説明します|各脳機能部位での出現症状

こんにちは!なおです!
このブログでは『心を軽くする考え方』『医療』『リハビリ』の3つを柱に情報発信を行っています。

ブログを通しあなたの人生を少しでも良い方向に変えていけるような“お手伝い”が出来るようになることが最大の目標です!是非、参考にして頂きながら今よりも良い毎日を歩んで下さい!

なお
なお
今回は、高次脳機能障害の症状を作業療法士の立場から詳しく説明していきます!わかりやすいように各脳機能部位別で出現症状をお伝えしていきます。

はい!本日のお題は『高次脳機能障害』に関してお伝えしていきます。

高次脳機能障害とは脳梗塞や脳出血、脳挫傷後に見られる症状で『言語』『理解力』『記憶』『注意力』などが障害されてしまうことを言います。

脳の梗塞部位や出血部位、損傷部位によって生じてくる症状が大きく異なってきます。

本日は、部位別に一つ一つ紐解いていき、その部位で出現してくるであろう高次脳機能障害に関してお伝えしていきます。

なお
なお
ちなみに自分は、急性期病院に勤める現役の作業療法士10年目です。今まで得てきた知識でなるべく分かりやすくお伝えしていきます!

脳梗塞・脳出血後の対応の仕方が分からない方、どんな症状が出現するのか知りたい方、改めて復習や新しく学習したい医療系学生さんにおすすめです。

是非、最後まで目を通して頂き高次脳機能障害に関して知識を深めて頂ければと思います。

高次脳機能障害の症状を詳しく説明します|各脳機能部位での出現症状

高次脳機能障害とは、上記にも述べさせて頂いたように脳梗塞・脳出血・脳挫傷によって脳が傷ついた時に生じる脳機能の低下を示します。

具体的には

・喋れなくなる

・喋っていても滅裂な喋りで会話が成立しない

・物の使い方が分からない

・自分の身体がどこにあるのか分からない

・記憶ができない、物が覚えられない

・集中力がなくなる、同時進行出来なくなる

・計算が行えない

・喜怒哀楽が激しくなる

・左半分だけ見落とす

・人の顔や物が分からなくなる

などの症状が、脳の損傷された部位により異なりながら生じてきます。

健康に過ごされている方にとっては、とても不思議に思える症状ですが、病気となられた方にとっては、自分のやっている事が正常だと思っているので自分自身で理解出来ない事や修正出来ない事も多々あります。

うつ病や統合失調症、自律神経失調症のように見えない障害の1つになります。

では、脳の部位別に生じる高次脳機能障害に関して記載していきたいと思います。

各脳機能部位別で出現する症状を解説


各脳機能部位別で出現する症状を以下にまとめていきます。
紹介していくのは

・前頭葉

・後頭葉

・側頭葉

・頭頂葉

の4つになります。

前頭葉が脳の前側。後頭葉が脳の後側。側頭葉が脳の横側。頭頂葉が脳のテッペンになります。

各部位で出現する障害が大きく異なるので是非、理解を深めてみてください!

前頭葉

前頭葉は『人間らしさ』を司る部位とされています。
大脳の中心溝と呼ばれる部位より前側をさし、前頭連合野、高次運動野、一次運動野の3つに分かれます。

前頭連合野では
・判断、思考、計画、企画、創造、注意、抑制、コミュニケーションを司ります。

高次運動野では
・外からの刺激から一連の運動の準備、自発的に一連の運動をプログラムする能力を司ります。

一次運動野では
意識的に筋肉を動かす能力を司ります。

前頭葉が損傷されて生じるとされている高次脳機能障害には

・意欲の低下
やる気が起きない、動く気がしないなどの症状

・注意障害
注意を持続出来ない、選択出来ない、同時進行出来ないなどの症状

・脱抑制、易怒性
泣いたら大泣きして、自分では抑制が効かなくなる、すぐにキレてしまう。そのキレかたも尋常ないキレかたをしてしまう。

・失語症(運動性失語と呼ばれるもの)
わかっているのに喋れなくなります。自分の意図しない言葉を言ってしまいます。

・熟練した運動の障害
自転車を漕げなくなったり、仕事でパソコンを使ってた人がパソコンを使えなくなったりします

・自発的な運動の開始や発語の低下
動き始める事が出来なくなります。また一言目の発言が難しくなります。

が生じてきます。

人間の行動力や意思決定、コミュニケーション能力を司るところになります。

ここが損傷されてしまうと無気力になってしまったり、言葉が喋れなくなったり、今まで出来ていたことが出来なくなったり、感情のコントロールが出来なくなったり、注意散漫などになってしまいます。

どの部位も人間にとって大切な働きをしていますが、特に人間にとって非常に重要な役割をしているのが前頭葉になります。

後頭葉

後頭葉は視覚情報を処理する部位とされています。

後頭葉は側頭葉の後方、頭頂葉の後下方にあります。境目は不明瞭な事が多いです。

後頭葉は一次視覚野〜五次視覚野に分かれ二次〜五次は一次の前方に存在し全て合わせて視覚前野と呼ばれます。

一次視覚野では
・視覚情報から形や色、動きや奥行きなどの情報を抽出します。各情報をより高次の視覚野へ送ります。

二次〜五次視覚野では
・一次視覚野から受け取った視覚情報を処理・統合し物体の認識や空間認知を行います。

後頭葉が損傷されて生じるとされている高次脳機能障害には

・物体失認
物がなんであるかが分からなくなります
リンゴがリンゴとして理解が出来ない。食べてやっと理解できる

・相貌失認
家族や妻・夫・友人などの顔が分からなくなります。声を聞いてやっと誰だか認識していきます。

・色彩失認
物の色が分からなくなってしまいます。

が生じてきます。

目には見えているのに目の前にあるものが分からなくなってしまいます。色が分からなくなってしまうのも後頭葉の損傷で起き得ます。

視覚の重要な機能を司る部位になります。



側頭葉

聴覚処理情報や言語機能、高次の視覚機能を司ります。

側頭葉は大脳の側面でシルビウス裂と呼ばれる部位より下に存在し一次聴覚野、聴覚周辺野、側頭連合野、ウィルニッケ野の4つの分野に分かれます。

一次聴覚野では
耳からの聴覚情報を受け取り音として感じる機能を司ります。

聴覚周辺野では
一次聴覚野で受け取った聴覚情報を過去の記憶と照合し、なんであるか解釈する機能を司ります。

側頭連合野では
視覚情報に基づく物体認識や、高次の聴覚情報処理、および記憶を司ります。

ウィルニッケ野では
言語理解を行うとされています。

側頭葉が損傷されて生じるとされている高次脳機能障害には

・ウィルニッケ失語(感覚性失語)
理解出来ていないのに理解しているかのごとく喋る

・環境音失認
電話がなっているのにその音が何だか理解出来ない

・感覚性失音症
音楽を聞いた際に音として聞こえても音楽として認識が行えない

・物体失認
上記、後頭葉参照

・相貌失認
上記、後頭葉参照

が生じてきます。

言っている意味がわからない。なっている音が何なのかが分からない。などの症状が生じやすい部位になります。

耳の機能を司る場所になります。

頭頂葉

頭頂葉は身体各部位の体性感覚(暑い・冷たい、痛い、触られる)と他の部位の統合・認知を司ります。

中心溝、頭頂後頭溝、シルビウス烈を境界として、それぞれ前頭葉、後頭葉、側頭葉と接しています。

一次体性感覚野、二次体性感覚野、上頭頂小葉、下頭頂小葉の4つに分かれています。

一次体性感覚野
右の脳なら左の腕・脚、左の脳なら右の腕・脚の体性感覚に関わります。

二次体性感覚野
一次体性感覚野および視床からの感覚刺激を受けとります。

上頭頂小葉
体性感覚連合野とが存在する。一次体性感覚野からの感覚情報を受け取り、空間内での体の位置、運動に関する情報を統合・認識を司ります。
また、後頭葉から視覚情報を受け取り、運動の認識、立体視、空間感覚に関わるとされています。

下頭頂小葉
縁上回と角回からなります。
縁上回では、体性感覚野から感覚情報、視覚情報を受け取り物体認識を行う角回では後頭葉から言語に関する視覚情報を受け取り、読み・書き・計算など一連の行為に関わります。

頭頂葉が損傷されて生じるとされている高次脳機能障害には

・肢節運動失行
自分の手足がどのように動かしているのか理解出来ないor拙劣になる
細かい物品操作など行えなくなる

・純粋失書
失語症や失行症などの症状がないのにも関わらず文字がかけない。

・観念運動失行
模倣が行えなくなってしまう

・伝導性失語
発語に関しては流暢で構音も良好であるが、多量の音韻性錯誤(カメラ→カメマなど)が目立つ失語症。吃音(どもり)のような話し方をする事もある。
最大の特徴は復唱が行えない

・失読失書
話す聞くなどの障害は見られないも文字が読めない。文字がかけない症状が出現します。

・ゲルストマン症候群
失算、失書、左右失認、手指失認を主とする症候群です

・観念失行
物品の使い方が分からない

・半側空間無視
半分だけ見落とす。主に右頭頂葉にて生じる。左の食べ物だけ見落とすというのが特徴

・半側身体失認
片方の腕、脚を忘れて行動してしまう。無いものと認識してしまう。

・身体部位失認
身体部位に触れられても、言われても、その部位を特定出来ない。

・構成障害
ものを組み立てられなくなる。文字を構成出来なくなる。

・着衣失行
服がきれなくなる。ズボンを上着として着ようとしたり、袖に頭を通そうとしたりする。

が生じます。

頭頂葉は運動の統合を行う場所にもなります。
なので自分では正しくやっているつもりでも正しく出来ていない。や見えていると思っても見えていなかったりします。

出来ると思ったことが出来ない。分かると思ってたことが出来ない。など非常にストレスの蓄積が強い場所にもなります。

高次脳機能障害を正しく理解すると正しく支援が行えるようになる


いかがだったでしょうか!?
高次脳機能障害の症状を詳しく説明します|各脳機能部位での出現症状と題して記事をまとめてきました。

なお
なお
高次脳機能障害を正しく理解すると正しく支援が行えるようになります。

脳機能というものはまだまだ不思議なもので現状でも明確に解明されているものは少ない状態です。

まだまだ、分析・研究が進められている分野となっています。

人によっては、脳の働きが逆に作用している方もいらっしゃいます(専門用語で優位半球と劣位半球が逆という意味です)。

また、左の脳で損傷が起きるか、右の脳で損傷が起きるかで出現してくる症状も異なります。非常に複雑で難しい分野が高次脳機能障害だと思います。

リハビリを行なっていくにあたっても人によって支援の仕方や治療の方法は全く異なります、しっかりとした評価・治療を行なったつもりでも予想外のことが多々起きるのが高次脳機能障害になるかと思います。

脳梗塞、脳出血、脳挫傷により身体機能以外でも生活に困難を示している方は大勢いらっしゃいます。

そのような方に対して、医療従事者を含めて一般の方や家族の方ができることは、正しい知識を身につけることになります。

今回の記事をきっかけに高次脳機能障害を持たれている方を正しく支援出来るようになってください。

怖がらず接してください。
それが高次脳機能障害を持たれた方を救うことになります。

以上、本日のブログでした。

病気がみえる 〈vol.7〉 脳・神経
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本日、参考にさせて頂いた本です。
医療従事者の方にとっては非常に役立つ本です。もちろん一般の方が見ても非常に分かりやすく症状がまとまっています。
ぜひ、みて頂けると良いかと思います。

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どんな知識でも身につけていけば今よりも格段に生きやすくなっています。
情弱になることなく過ごし良い未来を築いていきましょう!

最後まで目を通して頂き本当にありがとうございました。
少しでもあなたの未来が良い方向に向かうことを祈っています。
『悩み事』『もっと聞いてみたい事がある』と言う方はTwitterのDMやブログのお問い合わせから連絡下さい。1人で悩まず一緒に歩んでいきましょう!

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