リハビリコラム

統合失調症のリハビリについて現役作業療法士が詳しく解説します!

こんにちは!なおです!
このブログでは『心を軽くする考え方』『医療』『リハビリ』の3つを柱に情報発信を行っています。

ブログを通しあなたの人生を少しでも良い方向に変えていけるような“お手伝い”が出来るようになることが最大の目標です!是非、参考にして頂きながら今よりも良い毎日を歩んで下さい!

なお
なお
今回は、 統合失調症のリハビリについて現役作業療法士が詳しく解説していきたいと思います!

みなさんは統合失調症という言葉を聞いたことがありますか?
統合失調症はうつ病と同等に多い精神疾患の1つになります。

文字だけ見れば“なんか怖い”と感じる方も中にはいらっしゃるかもしれません。
ただ、しっかりと病気のことを理解すればそんなに恐ることはなくなります。

なぜかというと“病気だから統合失調症の症状が出ているんだなと判断が出来る”ようになるからです。

今回の記事では統合失調症とは“どんな病気なのか”それに対して“どんなリハビリをするのか”を基礎的なことをみなさんにわかりやすくお伝えしていきます。

統合失調症の症状で悩まれている方、統合失調症の人が周りにいるという方、リハビリの方法を知りたい方、医療系学生さんにおすすめの記事になります。

最後まで是非、目を通していって下さい!

統合失調症のリハビリについて現役作業療法士が詳しく解説します!


では実際、統合失調症ってどのような病気なのでしょうか?
統合失調症に関して基礎知識をお伝えしていきたいと思います。

なお
なお
まずは、統合失調症のことをしっかりと理解することが大切です。

主症状は妄想、幻覚、滅裂な会話、無為自閉や、感情鈍麻、受動性、および認知機能障害などを特徴とする精神科疾患と言われています。

なお
なお
たまに、電車の中などで見かけませんか?滅裂な言葉を誰に向かって話す訳でもなく1人でつぶやいているかた。多分ですが、大方統合失調症を持たれている方なのではないかなと思います。

そう言う人を見かけると“怖い”“関わりたくない”“離れたい”と思ってしまうのが正気なところだと思います。

ですが本当の急性期の症状が出ていない限り、こちらが何もしなければ相手も何もしてきません。安心してその場にいても大丈夫です。変に避けたりする必要はありませんし危害を加えてくることも基本的にはありません。

では、統合失調症に見られる症状に関して、もう少し紐解いていきたいと思います!

感情と意欲に関して

感情鈍麻 外の刺激に対して、自然な感情が湧いてこない状況
両価性 ある対象に対して、好き・嫌いの相反する感情が同時に出現する
自閉 現実世界との接触を拒否。自分の世界に閉じこもる。

上記が感情の障がいです。

自発性の低下 何もせず怠惰な生活を送っているのに退屈を感じない。
緊張病症状 理解不能で過剰な運動・衝動的な行為、または昏迷する。

上記が意欲の障がいです。

次に妄想に関してピックアップして述べていきたいと思います。
妄想には一次妄想二次妄想といものがあります。

一次妄想は心理的に理解出来ないものと言われており、二次妄想は妄想の発生がなんとか理解可能なものとされています。以下に具体的なものを載せていきます。

一次妄想には

妄想気分 なんとなく不気味に感じる。
例:「なんとなく、怖いことが起こりそうだ」と発言する
妄想知覚 知覚したことに特別な意味が感じられること
例:「黒い猫が通ったのをみて、今日死ぬんだと確信してしまう」
妄想着想 突然頭に浮かんできた事をそのまま確信する
例:「明日、総理大臣になり大統領に会うんだ」

二次妄想

被害妄想 自分が他者から害を受けていると考えるもの。
誇大妄想 自分を過大評価する妄想

が主な妄想とされています。

最後に思考の障がい自我の障がいに関して取り上げていきたいと思います。

思考の障がいとしては

連合弛緩 アイディアが論理的に結びつかなくなる。話の文脈にまとまりがない。
滅裂思考 思考の内容が全くなくなった状態。
思考途絶 思考が突然に全く停止する。
思考吹入 誰かに考えを吹き込まれている。
思考奪取 誰かに自分の考えを抜き取られている。

があります。

自我の障がいとしては

思考伝播 自分の考えが他人に伝わってしまう。
思考察知 自分の考えが他人に見抜かれてしまう。
作為体験 自分の行動が誰かに操られている。
自生思考 ある考えは自分が考えたのではなく、勝手に浮かんでくると感じられる。

があります。

統合失調症は上記の症状を有する病気とされています。

世界的に0.7%程度の発症率を有しています。日本には統合失調症の方が100万人程度いると考えられます。

比較的発症の頻度が高い値の疾患であるにもかかわらず、未治療で放置されたり、偏見や差別、非人道的治療にさらされてきた歴史が存在しています。

ただ、全く治らない病気かと言われればそうではなく、早期介入、リハビリ実施によって治療成績が良かったり、予後も良いとされています。

脳血管疾患や心臓疾患同様に早期発見、早期治療がとても大切になってきます。



統合失調症のリハビリ


次に統合失調症のリハビリに関してお伝えしていきます。
ここでは作業療法のお話になります。

リハビリに関しては、精神科・心療内科で受診後や入院後に医師の指示の元に受けることになっていきます。

リハビリとなった際に受けるのが作業療法となっています。

なお
なお
この記事を書いている執筆者が取得している資格になります。

作業療法士は統合失調症の方のリハビリを進めて行くにあたり、行動特性として以下のことを頭に入れながら接していきます。

・新しい事が覚えられにくい

・物事を道筋立てて考えるのが苦手

・一度に多くの課題を提示すると混乱してしまう

・非構成的、自由度が高すぎると戸惑ってしまう事がある

・柔軟性に乏しい事がある

・計画性に乏しい事がある

・慣れが少ない

・同時並行が出来ない事が多い

・作業量に変動がある

上記のように様々なことに注意を払いながら作業療法を展開していきます。

では、もっと具体的に発症期別にどんな対応をしているのか詳しく書いていきます!

急性期

急性期に関しては、まずは医学的治療休息が絶対条件にあります。

発症間もない方に対して行えるリハビリで行えることは少ないかと思います。
精神症状(興奮状態や妄想、滅裂な思考など)も著明に出現しており、自傷・他傷の可能性を大いに生じてしまう可能性がある時期だからです。

医師や看護師が薬物コントロール安静・休息で管理していき症状を落ち着かせていきます。

作業療法介入は超急性期から脱出し亜急性期と言われる段階に入ってから徐々に開始とされていきます。

急性期の作業療法士の役割はラポールの形成にあります。
そばに一緒に過ごしていき、関係性を構築していく事を大切にしています。
まずは、安心感を得てもらい、生活リズムを整えていく事が目標となっていきます。

作業療法の内容もガツガツとしたものではなく、疲労を生じにくい軽作業やリラクゼーションから行なっていきます。
また、生活リズムを整えていくことも重要となっていきます。

あくまでも疲労を生じさせずに、1日を過ごせる様にと言うところを大切に作業療法を実施していきます。

なので、健康な人にとっては、ごく当たり前の活動がリハビリとなっていきます。
具体的には

・朝起きたら歯を磨く

・朝ごはんを食べる

・着替える

・日中可能な範囲で起きて生活できる時間を作っていく
(起きれれば何しても良いと思います。好きなことやテレビを見て過ごすでも良い)

・気持ちや疲労感に合わせて気分転換をしてみる

・昼ごはんを食べる

・歯を磨く

・昼寝をしても良いと思います

・起きて日中を過ごす
(この時も起きていられるのなら疲労が生じない範囲で好きな事をして良い)

・夕食を食べる

・お風呂に入る
(疲れるので、大変なら清拭だけでも良いのかな・・・)

・着替える

・歯を磨く

・寝る

普通の生活がリハビリになる時期です。
上記の事を最初からスムーズにおこなる方は少ないかと思います。

かなり疲労困憊しており活動意欲が湧きにくいためです。
また薬の副作用も強く生じ、1日を起きて生活すると言う事がかなり体力を要する事となってきます。

その人、その人に合わせて内容を変えながらリハビリを行なっていきます。
作業療法士は1人1人の性格や行動特性を評価しながら接していきます。

症状の増悪を呈しそうな事柄や異常行動が見られてきたら速やかに医師・看護師、他職種と連携していきチーム医療をいつでも行える様にしていきます。

これが急性期での作業療法内容となっています。

回復期

回復期では、作業療法が治療の中心となっていきます。回復期には前期・後期が存在します。(亜急性期・回復期前期・後期は明確にここまでがこの時期というものはありません)

回復が進んできた段階で集団活動や院外作業療法も取り入れていきます。

回復期前期と呼ばれる時期には、ようやく消耗状態が軽減してきた時期であり、疲労回復を主とした作業療法種目が望ましいとされています。
具体的には

・基本的な生活リズムを整えていく

・身体感覚の状態を取り戻していく

・疲労の管理を行なっていく

・活動を無理のない範囲で広げていく

・楽しむ体験を増やしていく

事が重要となってきます。

回復期後期には自立して社会に適応していけるように作業療法を進めていく事が重要となっていきます。具体的に回復期後期で実施する作業療法の内容やポイントを以下に書いていきたいと思います。

・社会復帰に向けて応用的な能力を身につける(SSTと呼ばれるもの)

・対人関係技能の習得をしていく

・何もしなくて良い事を保証する

・生活パターンを維持できるようにする

・服薬管理が行えるようになる

・金銭管理が行えるようになる

・体力回復の為の運動をする

・就労に向けて動いていく

をポイントに作業療法を実施していきます。
支援していく際も再発には要注意をしていく必要があります。

頑張りすぎてしまったり、生活パターンが大きく変わってしまうと容易に再発したりします。
自己管理や困った時に頼れるセラピストや医師、相談相手を作っておく事が重要となります。

気長にリハビリを行っていくことが症状改善に繋がります


いかがだったでしょうか!?
統合失調症のリハビリについて現役作業療法士が詳しく解説します!と題して記事をまとめてきました!

なお
なお
統合失調症のリハビリに関しては、気長に行っていくことが症状改善に繋がっていきます!

精神科や心療内科に通院する・入院するという事に関して、まだまだ、抵抗感を示す方も少なくないかとは思いますが気持ちが落ち着かない・落ち込む・頭の中がまとまらないなどの症状が出たらすぐに精神科・心療内科に通院する事をおすすめします。

普通に風邪を引いた時と同様に“心の風邪”だと思い、周りの目を気にせず気軽に受診してみて欲しいです。

早期に対応することで症状を重症化させることなく日常生活を過ごせるようになります。
心の病気は、拗らせてしまうと症状改善までに多くの時間と労力を取られてしまいます。
少しでも自分の人生をよりよく過ごして行きたいと思われる方は、我慢することなく精神科・心療内科に行き相談して行きましょう!

その方が心に余裕を持って生活していけるようになりますよ!

以上、本日のブログでした。

↑今回参考にさせて頂いた本を貼っておきます。
今回のように精神疾患系のリハビリや身体疾患系のリハビリについて多く記事を書いています。

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以上、本日のブログでした。
最後まで目を通して頂き本当にありがとうございました。
少しでもあなたの未来が良い方向に向かうことを祈っています。
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