医療コラム

アルコール依存症の治療法を作業療法士が解説します|リハビリ方法

こんにちは!なおです!
このブログでは『心を軽くする考え方』『医療』『リハビリ』の3つを柱に情報発信を行っています。

ブログを通しあなたの人生を少しでも良い方向に変えていけるような“お手伝い”が出来るようになることが最大の目標です!是非、参考にして頂きながら今よりも良い毎日を歩んで下さい!

なお
なお
今回は、アルコール依存症の治療法を作業療法士が解説していきます。アルコール依存症の理解とリハビリ方法を是非、知って頂ければと思います!

コロナ禍ということもありストレスもかかりやすくアルコール依存症になってしまう人が急増しています。

アルコールは、適切に飲めば楽しく過ごすことができますが飲み方一つ間違えてしまうと容易に依存症になってしまいます。

依存症の何が怖いかというと一度依存症になってしまうと“依存症ではない状態”に戻していくのが非常に難しくなってしまいます。

アルコールに関して正しく理解していくことで依存症になることなくいつまでも楽しくアルコールを飲んで行けるようになります。

・アルコールの理解を深めていただく

・アルコール依存症になってしまった挙句はどうなるのかを知る

・周りにアルコール依存症になってしまった人がいる

・自分がアルコール依存症かもしれない

・アルコール依存症の治療方法に興味がある

・アルコール依存症のリハビリ方法が知りたい

という人に今回の記事はおすすめです!

最後まで是非、目を通してみて下さい!

アルコール依存症の治療法を作業療法士が解説します


早速ですが、みなさんアルコールは好きですか?

お酒の飲み方に関しては、たしなむ程度に飲む、毎日の日課のように飲む、飲み会の時に飲む、友人とあった時にだけ飲むなど多様な飲み方があるかと思います。

なお
なお
そんなアルコールなんですが適正な摂取量をご存知ですか?

厚生労働省は『健康日本21』の中で『節度ある適度な飲酒』と『多量飲酒』を明確に定義しています。

前者は、『1日平均20g程度の飲酒』であり、後者は『1日平均60gを超える飲酒』です。

以下に主なお酒とアルコール量をまとめてみます。

お酒の種類 お酒の量 アルコール度数 アルコール量
ビール 500ml 5% 20g
日本酒 1合 180ml 15% 21.6g
焼酎 100ml 25% 20g
チューハイ 350ml 7% 19.6g
ワイン 小グラス1杯 200ml 12% 19.2g
ウィスキー ダブル1杯 60ml 43% 20.6g

上記に当てはめて計算すると適正量なのか飲みすぎかが一目でわかります。

ちなみに補足になりますが、アルコール関連で急性アルコール中毒に関しても記載したいと思います。

血中アルコール濃度 主要症状(個人差あり)
20〜40mg/dl 微酔爽快期
気分爽やか。活発な態度をとる
50〜100mg/dl ほろ酔い初期
ほろ酔い気分。脈拍数・呼吸数が早くなり、話が滑らかとなる。抑制が取れる
110〜150mg/dl ほろ酔い極期(酩酊前期)
気が大きくなり、自己抑制が取れる。立てば少しふらつく。
160〜300mg/dl 酩酊極期
運動障害が出現する。まともに歩けない。呼吸促迫、嘔気、嘔吐
310〜400mg/dl 泥酔期
歩行困難。転倒すると起き上がれない。意識混濁。言語支離滅裂。
410mg/dl以上 昏睡期
昏睡状態。尿便失禁、呼吸麻痺、死亡

参考文献:杠岳文、樋口進、河野裕明:アルコール中毒の診断基準・病型分類・重症度.内科75;1995:1427-1432.

血中アルコール濃度を計算するには、血中アルコール濃度(mg/dl)=アルコール摂取量(g)÷{体重(kg)×0.96}になります。

プラスαでアルコールが体内から無くなるまでの時間は、消失時間=アルコール量(g)÷5gになります。

アルコールに関しては、体内吸収スピード、排出スピードは個人差が大きくありますので上記の計算式は参考までにして下さいね!

必ずしも計算式から導かれた物が正しいとは限りません!これだけは強く述べておきます。自己責任で計算し管理してください。

アルコール依存症に関してまとめていきます。
次の項目からは実際のアルコール依存症に関して記載していきます。

アルコール依存症


アルコール依存症では少量のお酒でも自分の意思で止めることが出来ず、連続飲酒状態になることを言います。

なお
なお
常にアルコールに酔った状態でないと済まなくなります。

したがって治療法は禁酒しかありません。

また、アルコール依存症の厄介な所は当事者本人だけではなく、周りも巻き込んでしまうことにあります。

・家族に対しては経済的問題、暴力・暴言・別居・離婚など深刻な問題に直面することになりかねません。

・子供は親の暴言や暴力、育児放棄により健全な心身の発達が損なわれる可能性があります。

・職場では上司や同僚に、欠勤や仕事上のトラブルで迷惑をかける事も予想されます。

・自己判断能力が低下する為、飲酒運転などによる重大事故の発生などにつながる恐れもあります。

上記の行動を当事者本人にやめるよう説いても聞き入れようとしないことが特徴です。

なお
なお
自分に都合よく考えて反省しなくなっていきます。

飲酒をして『幸せに暮らしている自分』をとがめる周囲にストレスを感じ反発したり、依存症の悪影響を否認するようになったり、自分では飲酒の問題にうすうす気づいていながら、周囲に助けを求めれなくなったりします。

当事者本人の身体・精神的な負担に加えて周りへの負担もかかっていき八方塞がりの状態となってしまいます。

まさに負のスパイラルに入っていってしまうことになります。

なるべくこの状態を早いうちに脱出出来るように近くの精神科・心療内科に連れていき正しい治療、リハビリを受けることが重要とされます。



アルコール依存症の離脱症状

アルコール依存症の離脱症状の経過をご紹介していきます!

・6時間〜24時間
振戦、頻脈、発熱、発汗、嘔気、悪寒、嘔吐、不安、不眠、焦燥、けいれん発作

・24時間〜72時間(まれにそれ以降も継続する)
振戦せん妄・・・上記の自律神経症状のより激しいものとなる。意識混濁、精神運動興奮、錯覚、小動物幻視が存在する

時には以下の健忘症候群に移行することもある。
・ウィルニッケ脳症:意識障害、運動失調、眼球運動障害が主症状。離脱後3日後あたりから始まり、時には1ヶ月以上続く事がある。ビタミンB1欠乏が原因

・コルサコフ症候群:ウィルニッケ脳症から移行する事が多い。記憶障害、失見当識、作話が主症状。重症では記憶障害、失見当識の回復が困難となる。

・アルコール幻覚症:幻聴、幻視、被害妄想が主症状であるが、1、2週で消失する(統合失調症との鑑別で重要)。配偶者の不貞を確信する(こんなアル中の自分を見捨てて浮気しやがって、など)のもアルコール嫉妬妄想といい、時に配偶者に暴力を振るう。

アルコール依存症の治療法・リハビリで行う


上記にも挙げさせてもらいましたが、根本的な治療は『禁酒』です。
アルコール依存症の方は、まず入院された後、身体からアルコールを抜いていく治療を行います。

薬剤(ベンゾジアゼピン系薬物)を併用しながら点滴をおこなって体外にアルコールを排出していきます。

この治療を受けている際に離脱症状を生じやすく、苦しい思いをする事があります。
人によってまちまちですが2〜4週間程度行う事があります。

ある程度、アルコールが体外に排出されれば、リハビリが開始となります。
ここで行われるのが『作業療法』になります。

アルコール依存症患者との関わる上では『受容的態度』を基本としながらも飲酒要求には応じないことが重要です。

関わっていくにあたって具体的に行なっていくことは

・離脱症状の確認

・本人の行動には支持的に接するようにする。

・飲酒欲求や汚名返上の気持ちが強く、焦燥感を感じる事が多いため、受容的な態度で接する。

・身体機能の評価を行い、肝機能障害が生じていないかチェックする。

・作業を行う際は本人の体力や疲労感を配慮した上で作業を提示する側が作業量を調節するようにする。

・特有の心理を把握する(アルコールが抜けている時の状態)
名誉挽回のため焦り、過剰に頑張ってしまう
飲酒が問題であることを否認し、断酒に対する恐怖心がある
人に対する評価が極端で、良いものに対して惚れ込む
依存的で未熟であり、依存対象への攻撃性が高い

・家族関係、社会適応レベルの把握

が重要となってきます。

アルコール依存症の家族への援助

アルコール依存症者だけではなく、家族に対する支援も重要となってきます。

・家族がアルコール依存症について学習できる場を提供する
家族にアルコール依存症に対する正しい知識を持ってもらう。

・アルコール依存症の患者と共に『家族の会』に参加することを進める
夫婦で断酒会へ出席することも有効である。

・家族には、患者に対して否定的に接するのではなく、断酒を励ますよう協力を求める
アルコール依存症の患者は、現実から逃避するため飲酒に走る反面、これではいけないと思う気持ちもあるため、精神的なサポートとして家族の協力は欠かせない。

・断酒対策としてアルコールを目に触れない場所に保管することは適切ではない
患者はどのような方法を使ってもアルコールを入手しようとするため、逆効果となることもある。

・飲酒による失敗を患者本人が受け止められるようにする
飲酒による失敗の後始末を家族がすると患者本人が失敗を認識できない

・心身状態の重篤度を判断し、必要に応じて医療機関への継続受診を進める

また、アルコール依存症者の通院の『3本柱』として
・通院を継続して行うこと。
決して自己中断してはいけません。再発のリスクが高いのがアルコール依存症の怖いところです

・自助(断酒会など)グループへの参加
自分1人で依存症に立ち向かうのではなく、周りの仲間と共感し励まし合いながらアルコールを絶っていく事が重要です

・抗酒薬の服用
これを飲んでいることにより、間違ってアルコールを飲んでしまっても強烈な二日酔いのような症状が出現し酒を飲みたいとは思わなくなります。
心理学の分野では『オペラント条件付け』と言われているものですね。

アルコール依存症になると大変な生活が待っているので程々に

いかがだったでしょうか!?
アルコール依存症の治療法を作業療法士が解説します|リハビリ方法と題して記事をまとめて来ました。

なお
なお
アルコール依存症になると大変な生活が待っているので程々にしましょう。

当事者本人もそうですが、周辺の方や家族の方も苦しめてしまう病気です。

アルコールが好きだといって毎日飲んでいたり、ストレス発散目的に大量飲酒を行なっている方は要注意かと思います。

気づかないうちにアルコールに対する耐性が付いていき、酔わなくなり、酔いたいが為に量や強いアルコールのものを求めていくようになってしまいます。

適切な量を適切なタイミングで飲む事が重要です!!!

自分もお酒はどちらかと言うと好きな方なので正しい知識を理解し楽しい飲酒生活を続けられるようにお互いしていきましょう!!!

以上、本日のブログでした!

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以上、本日のブログでした。
最後まで目を通して頂き本当にありがとうございました。
少しでもあなたの未来が良い方向に向かうことを祈っています。
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