こんにちは!なおです!
このブログでは『心を軽くする考え方』『医療』『リハビリ』の3つを柱に情報発信を行っています。
ブログを通しあなたの人生を少しでも良い方向に変えていけるような“お手伝い”が出来るようになることが最大の目標です!是非、参考にして頂きながら今よりも良い毎日を歩んで下さい!
乳がん術後のリハビリは、術式に合わせて慎重に実施していかないと二次的な合併症を招いてしまう可能性があります。また、日常生活上でも守るべきことを守らないと二次的な合併症を招く原因となってしまいます。
二次的な合併症を引き起こしてしまうとその後の生活が非常に辛いものになってしまいます。
・痛み
・滲出液(リンパ液や血液成分など)の露出
・感染
・出血
・リンパ浮腫
・傷口の離解
・肩関節周囲炎(いわゆる四十肩・五十肩)
などがあります。
これらを防いでいく為にも術後のリハビリ、術側の管理というのが非常に重要となります。
各病院で医療スタッフが説明してくれるとは思いますが、説明が不十分だったり、説明が分かりにくかったり、言われたことを忘れてしまったりする方もいるかと思います。
そんな方に向けて日々乳がんのリハビリを実施している現役作業療法士(経験年数12年目)がリハビリ方法と生活上の注意点をまとめてお伝えしていきたいと思います。
乳がん当事者、乳がん当事者の家族・友人、作業療法士や理学療法士、看護師や医療従事者、医療系学生さんにおすすめの記事となります。
是非、最後まで目を通して頂き参考にして頂けたら嬉しく思います。
乳がん術後のリハビリを現役作業療法士が解説します|即実践可能リハ
まず、乳がんのリハビリや日常生活上の注意点を説明していく前に術式を紹介していきたいと思います。
基礎知識として知っておいて頂ければと思います。
乳がんの手術方法には
・乳房部分切除術
乳房円状切除 Bp 乳房扇状切除 Bq
・乳房切除術 Bt
・乳頭温存乳房切除術 NSM
・皮膚温存乳房切除 SSM
・乳房再建 TE
*英語は医療用語でカルテなどに記載する際によく用いられます。上記の術式と合わせてセンチネルリンパ節生検(SN)、リンパ節郭清(Ax)を行う方が多いです。
などがあります。
上記の項目は、自分が担当したことのあるものだけを挙げさせて頂いています。
他にも術式はありますし今後医療が発展していけば他の術式も生まれてくるかもしれませんが大体の方が上記の術式を施行されるかと思います。
術式によって“やって良いこと”“やってはいけないこと”が分かれてくるからです。
やって良いのにやらない。やってはいけないのにやってしまう。は二次的な合併症を引き起こしてしまう原因になります。
十分に注意して過ごしていくことが大切です。
乳房部分切除術のリハビリと日常生活上の注意点
では、ここからは術式別にリハビリ方法と生活上の注意点をお伝えしていきます。
ここでは、乳房部分切除術に関してお伝えしていきます。
当てはまる術式が
・乳房円状切除 Bp
・乳房扇状切除 Bq
*センチネルリンパ節生検(SN)、リンパ節郭清(Ax)
となります。
手術の際に単独でBpだけ施行される方やBqだけ施行される方もいれば、組み合わせとしてBp+SNやBq+SNを施行される方もいます。
最近では単独だけで手術される方は少ない印象を受けます。比較的Bp+SNやBq+SNのどちらかを受けられる方が多いです。
Bp、Bq、Bp+SN、Bq+SNのどれかを受けられた方のリハビリや日常生活上の注意点は全員共通になります。
Bp、Bq、Bp+SN、Bq+SNのリハビリ方法
Bp、Bq、Bp+SN、Bq+SNのどれかを受けられた方のリハビリは、手術後特段大きなトラブルがなければ術後翌日から肩を挙げても良い(右胸を手術したら右肩、左胸を手術したら左肩)ことになります。
動かす際の注意点としては、ゆっくりと動かすようにしましょう。
前からゆっくりと手を挙げて最後はバンザイの姿勢まで持っていくのが1つ。もう1つが横から手を挙げて最後まで手を挙げるです。
最初は、つっぱるかもしれませんが繰り返し手を挙げていくことで、つっぱり感がなくなっていくはずです。
手を挙げることに慣れてきたら、次は肩甲骨をすくめたて降ろしたり、時計回りに回したり反時計回りに回したりをしましょう。手を振ったりすることやグーパーなどの指の運動も大切です。これらの動作を行う時も基本的にはスピードをつけずゆっくりと行うことが大切です。
術後に何もせず動かさないという事がないようにしましょう。
動かさないとどんどん肩が固まっていき肩関節周囲炎に移行してしまうようになってしまいます。
そうすると術後のリハビリ期間が長くなってしまいます。
そうならように予防的にリハビリを行っていくことが大切となります。
あとは、運動不足にならないように術後翌日から医師の指示に従いながら病棟を歩くなど体力・筋力を落とさないように過ごしていくことも大切です。
是非、意識して行ってみて下さい。
Bp、Bq、Bp+SN、Bq+SNの日常生活上の注意点
Bp、Bq、Bp+SN、Bq+SNのどれかを受けられた方の日常生活上の注意点は、いくつか存在します。
ただ、絶対にやってはいけない動作というのは基本的にはありません。
術後1ヶ月程度、術部の状態が落ち着くまで意識的に術側を管理して頂いた方が術部の離解や感染、出血、リンパ浮腫などを防いでいくことが出来ます。
意識して欲しい日常生活上の注意点は
・重たいものを持たないようにする(1kg以上は重たいと思います)
・手術した側に体重を掛けない(術測から手をついて起き上がらない)
・締め付けるような下着を使用しない
・ジャンプをしない
・激しい運動をしない
・片掛けのバックを使わない(斜めのバック)
・リュックも基本的には使わない
・過使用しない
・清潔に保つようにする
・暑いお湯や溜め湯には入らないようにする
・虫刺されに注意をする
です。
上記のことを主に実施していきます。
手術後は、非常にトラブルが起きやすい時期です。
手術前のことを手術後もいきなり実施してしまったり、少し無理な行動をしてしまうと合併症を引き起こすことになってしまいます。
1ヶ月ぐらいは、ゆっくりと過ごすようにしましょう。
仕事も可能であればゆっくりと復帰するようにして、まずは日常生活に慣れるようにすることから始めることをおすすめします。
どうか自分を大切に扱って下さい。
気になる症状が出てきたり合併症かも?と思われたら悩まず直ぐ手術を受けた病院に相談することも大切です。
放置しない。
それが合併症を重症化させないポイントにもなります。
Axを施行
Bp+AxやBq+Axという部分切除に加えてリンパ節郭清を行う方も中にはいます。
Ax(リンパ節郭清)を実施するとリハビリ方法や日常生活上の注意点が少し変わってきます。
次の項目で乳房切除術・乳頭温存乳房切除術・皮膚温存乳房切除・乳房再建のリハビリと日常生活上の注意点を紹介していきますのでそちらを参考にして下さい。
Bp+SNやBq+SNでのリハビリ方法や生活上の注意点は参考にしないで下さい。
全く別もになります。注意して下さい。
乳房切除術Bt・乳頭温存乳房切除術SNM・皮膚温存乳房切除SSM・乳房再建TEのリハビリと日常生活上の注意点
次に乳房切除術Bt・乳頭温存乳房切除術NSM・皮膚温存乳房切除SSM・乳房再建TEを受けられた方のリハビリと日常生活上の注意点を紹介していきたいと思います。
いわゆる全摘をされる方です。
加えてAx(リンパ節郭清)をされている方もここに含まれます。
全摘やAX(リンパ節郭清)をされる方は部分切除の方と比較し様々な制限があります。
制限を守らないと出血や感染、リンパ浮腫、滲出液露出などの原因となってしまいます。最悪、血腫などが出来てしまい再手術となってしまうこともあります。
乳房切除術Bt・乳頭温存乳房切除術NSM・皮膚温存乳房切除SSM・乳房再建TE・Axを受けた方が必ず守らなければならないことがあります。
それが
・乳房切除術Bt・乳頭温存乳房切除術NSM・皮膚温存乳房切除SSM・Ax(リンパ節郭清)は、ドレーン抜去まで肩を90°以上(前ならえ)挙げてはいけない
・乳房再建TEは、1カ月程度主治医の許可が出るまで肩を90°以上(前ならえ)挙げてはいけない
ということです。
乳房切除術BT・乳頭温存乳房切除術NSM・皮膚温存乳房切除SSM・乳房再建TE・Axを受けられた方の殆どが術後ドレーン留置されます。
主治医がドレーンを抜いてくれるまでドレーンが抜けないようにしていく必要があります。
ドレーン留置は血腫を防いだり滲出液を減らしたりする役割があります。
適切に血液や滲出液を抜かないと術後トラブルを高確率で起こしてしまいます。
術後トラブルを防いでいく為にもドレーン抜去まで肩を90°以上挙げないようにする、乳房再建TEは1ヶ月程度主治医の許可がないと肩を90°以上挙げないようにして過ごさなければなりません。
絶対に守らなければならないことになりますので要チェックです。
守れないと術後のトラブルになります。意識的に注意していくことが大切です。
乳房切除術Bt・乳頭温存乳房切除術NSM・皮膚温存乳房切除SSM・乳房再建TE・Axのリハビリ方法
乳房切除術Bt・乳頭温存乳房切除術NSM・皮膚温存乳房切除SSM・Axを受けられた方のリハビリ方法は、ドレーン抜去までは、肩を90°までしっかりと挙げられるようにしておく事が目的になります。ドレーンが抜去されてからは肩を90°以上挙げるリハビリを実施していきます。
ドレーンが抜去されるまでの間、肩周りの筋肉を硬くしないようにマッサージをしたり前から肩を90°まで挙げたり、横から肩を90°まで挙げたりします。また、部分切除の時と同様に肩甲骨を動かしたり指なども固まらないようにグーパーすることが大切です。
マッサージする際は、とにかく優しくやって下さい。
肩を挙げる際も強い痛みや痺れが生じない限りは動かして大丈夫です。ゆっくり優しく動かして下さい。
繰り返しにはなりますがドレーン抜去までは90°以上挙げてはいけません。これは絶対です。
ドレーンが抜去されれば肩を最後まで挙げても大丈夫です。ただし、挙げる際はゆっくりと優しく挙げるようにして下さい。
つっぱることもあると思います(つっぱる人が多いです)。その際は、無理に勢いで挙げようとせずゆっくりとストレッチする感覚で優しく繰り返しあげるようにしてみて下さい。
術後間もないので慎重にリハビリを進めていく必要があります。
無理矢理挙げることは、しないで欲しいですが挙げないと肩が固まってしまう可能性があります。安静にし過ぎない。手術を受けていない側の肩と同等まで挙げられるように意識してリハビリを行っていく必要があります。
乳房再建TEも同様で1ヶ月程度主治医の許可が出るまで肩を90°までしっかりと挙げられるようにしておく事が目的になります。
1ヶ月程度肩を90°までしか挙げられないので固まってしまうリスクがあります。
自分で出来る範囲で乳房切除術Bt・乳頭温存乳房切除術NSM・皮膚温存乳房切除SSM・Axと同様のリハビリを実施してみて下さい。
主治医から最後まで手を挙げて良いという指示が出たら最後までゆっくりと挙げるようにしてみて下さい。
この際に肩が90°以上どうしても挙がらないということになれば作業療法・理学療法の重点的なリハビリを受けることをおすすめします。
何事も早め早めの行動が大切です。
正しく動かしていくことが出来れば、早く元通りの生活をしていくことができます。
受身的になることなく主体的にリハビリを実施していくことが大切です。
乳房切除術Bt・乳頭温存乳房切除術NSM・皮膚温存乳房切除SSM・乳房再建TE・Axの日常生活上の注意点
乳房切除術Bt・乳頭温存乳房切除術NSM・皮膚温存乳房切除SSM・乳房再建TE・Axを受けられた方の日常生活上の注意点は、部分切除の部分で挙げた項目を最低1ヶ月以上、出来れば基本的に行わないようにすることが大切となります。
部分切除で挙げた項目をもう一度以下に挙げます。
・重たいものを持たないようにする(1kg以上は重たいと思います)
・手術した側に体重を掛けない(術測から手をついて起き上がらない)
・締め付けるような下着を使用しない
・ジャンプをしない
・激しい運動をしない
・片掛けのバックを使わない(斜めのバック)
・リュックも基本的には使わない
・過使用しない
・清潔に保つようにする
・暑いお湯や溜め湯には入らないようにする
・虫刺されに注意をする
です。
これらの中で特に気をつけ欲しいのが締め付けるような下着を使用しない、激しい運動をしない、片掛けのバックを使わない(斜めのバック)、リュックも基本的には使わない、虫刺されに注意をするです。
締め付けてしまったり圧迫してしまう行為は、リンパ浮腫につながってしまいます。
特に全摘やリンパ節郭清をされている方は、部分切除の方と比較してもリンパ浮腫になりやすい傾向にあります。
虫刺されに関しても感染し発熱してしまうリスクがあります。
夏場などは、虫除けスプレーや虫に刺されない工夫をしていくことが大切になります。
乳がん術後は、本当に様々な予期しないことが起こりやすい状態になります。
とにかく日常生活は慌てずゆっくりと過ごしていくことが大切です。
頼れる人がいるのなら積極的に頼っていきましょう。
手を抜ける部分があるのなら積極的に手を抜いていきましょう。
自分の身は自分で適切に守れるようにしていきましょう。
それが乳がん術後の生活で非常に大切になる部分になります。
適切な知識・適切な管理が乳がん術後には大切になります
いかがだったでしょうか。
乳がん術後のリハビリを現役作業療法士が解説します|即実践可能リハと題して記事をまとめて参りました。
怖いのがやはり知識不足です。
知識がないが故に間違った方法でリハビリを進めてしまったり、自己管理不足が生じ合併症を招いてしまっては、元もこうもありません。
どんどん知識を得られるように行動してみて下さい。
どんどんこの記事を活用して毎日を過ごしてみて下さい。
それがより良い未来につながっていくはずです。
この記事を見て分らないことがあれば問い合わせからでもXのDMからでも良いので連絡下さい。
とにかく1人で抱え込まないことが大切です。
乳がん手術を受けた全ての方が安心安全に過ごせるようになったり、家族・友人・医療従事者の方が適切に知識・技術を伝えていけるようになってくれたら嬉しく思います。
以上、本日のブログでした。
最後まで目を通して頂き本当にありがとうございました。
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