リハビリコラム

作業療法における段階付けを詳しく解説します|若手・学生さん必見

こんにちは!なおです!
このブログでは『心を軽くする考え方』『医療』『リハビリ』の3つを柱に情報発信を行っています。

ブログを通しあなたの人生を少しでも良い方向に変えていけるような“お手伝い”が出来るようになることが最大の目標です!是非、参考にして頂きながら今よりも良い毎日を歩んで下さい!

作業療法を実施するにあたって『段階付け』ってどうやってやっていけば良いのか分からない。どうしよう・・・。

そんな悩みを持たれている方もいるかと思います。

なお
なお
自分も正直、学生の頃や新人〜2年目の頃ぐらいまでは段階付けって何となくは分かってましたがハッキリとは分からない状態だったなと思います。

なので今回は、作業療法における段階付けの行い方を詳しく解説していきたいと思います。

段階付けを行うにあたってどのようにすれば良いか迷っている作業療法士の方、段階付けとはどのようなものなのかを知りたい作業療法士学生さん、実習に向けて段階付けを勉強したい学生さんにおすすめの記事になります!

是非、熟読して頂き参考にして頂ければと思います!

作業療法における段階付けを詳しく解説します

作業療法における段階付けというのは、作業療法を適切に進めていくにあたって非常に重要になることです。

この段階付けを正しく理解していないと患者さん・利用者さんに過負荷を与えてしまうことになります。

なお
なお
無駄にヘトヘトにさせてしまったり、作業療法の効果を真逆のものにしてしまい症状悪化を招いてしまう可能性があります。

過負荷を与えてしまうとうことは適切な作業療法が行えていないと言っても過言ではありません。

なので、この機に正しく段階付けを理解してみて下さい!

段階付けを行なっていくには以下のものを意識していく必要があります。

・数

・大きさ

・距離

・高さ

・重さ

・作業工程

・回数

・時間

です。
これらが適切に調整出来ているかを毎回、毎回考える必要があります。

では、具体的にどう言うことかを解説していきます。

段階付けを行なっていくには『数』を意識していく必要があります。

・数が多い→難易度が高い

・数が少ない→難易度が低い

段階付けを行なっていくにあたっては数の調整が一番行いやすいかと思います。
数が少なければそれだけ難易度は低くなりますし数が多くなれば難易度が高くなります。

患者さん、利用者さんの疲労具合や代償動作出現具合を見ながら数のコントロールを行なっていく事が重要です。

導入としては、数の少ない所から始め徐々に数を増やしていく方が患者さん、利用者さんへの負担もコントロールしやすくなります。

治療的介入を行う中で適切な数を設定出来るように日々の変化を追っていく事が大切です。

大きさ

段階付けを行なっていくには『大きさ』を意識していく必要があります。

・小さい→難易度が高い

・大きい→難易度が低い

段階付けを行うにあたっては、物の大きさも考える必要があります。

物が大きくなればなる程、物は掴みやすくなりますし逆に物が小さくなればなる程、物がつかみにくくなります。

なお
なお
ここでは重さは考えないこととします。

脳卒中患者さんなどにいきなり小さい物品を出してしまうと物品が掴めないだけではなく、過剰な固定や代償動作を生み出してしまう可能性があります。

なので、まずは掴みやすいものから導入し徐々に掴みにくいものへ変えていくのが段階付けになります。

物の大きさ注意していきましょう!

距離

段階付けを行なっていくには『距離』を意識していく必要があります。

・距離が遠い→難易度が高い

・距離が近い→難易度が低い

物の置く位置によっても段階付けを行う事ができます。

なお
なお
適当に物の位置を定めてはいけません!

遠くのものを取ろうと手を伸ばそうとすればする程、努力性が強くなりますし近ければ近い程、努力性も弱くなっていきます。

なので、治療導入時は近い所から始めて徐々に遠くに離していくというのが基本です。
これを理解せず、初めから遠い位置に物を置いてしまうのは患者さん、利用者さんを過剰に頑張らせてしまうことになります。

段階付けとしては不適切な事が多いです。

そうならないように物を置く位置には注意しましょう!



高さ

段階付けを行なっていくには『高さ』を意識していく必要があります。

・高い→難易度が高い

・低い→難易度が低い

物の置く高さで段階付けを行う事が出来ます。

物の位置が高ければ高い程、努力性が強くなり、物の位置が低ければ低い程、努力性が弱くなります。

なお
なお
ここではバランス能力は考えないことにします。

基本的に低い所から高い所に向かって段階付けを行なっていく事が多いです。

なのでいきなり高い所から何かを行なっていくのは、あまり良い手段とは言えません。
ただ逆に低すぎるのも良いとはいません!

患者さん、利用者さんが作業をするにあたって代償動作が出ない高さから始めて徐々に高くしていくのが良いかと思います。

しっかりと患者さん、利用者さんを観察し高さを決定していきましょう!

重さ

段階付けを行なっていくには『重さ』を意識していく必要があります。

・重い→難易度が高い

・軽い→難易度が低い

基本的に軽い方が難易度が低いことが多いです。

なお
なお
運動失調系の疾患は少し異なってきます。運動失調系の疾患を持たれている方に軽いものを扱わせると物がすっ飛んでってしまう可能性がありますので軽過ぎるものはNGです。

治療的介入を行う際は、まずは軽いものから導入し徐々に重たくしていくのが基本的な段階付けになります。

いきなり重たいものから導入すると過剰努力や代償動作を強く生じてしまう可能性が高く、身体を痛めてしまったり筋肉痛を生じさせてしまう原因になります。

物の重さに注意していきましょう!

作業工程

段階付けを行なっていくには『作業工程』を意識していく必要があります。

・作業工程が多い→難易度が高い

・作業工程が少ない→難易度が低い

精神科・心療内科などでは、よく作業工程に関しては注視するかと思います。

なお
なお
作業工程を無視してしまうと患者さんの状態を悪くしてしまう可能性があるからです。

例えばパズルでは、ピースの数が多ければ多い程難しくなりますし、編み物に関しては工程が複雑になればなるほど難しくなります。

基本的に簡単なものから徐々に難しいものへ変えていくのが段階付けになります。

作業工程を考えないで患者さん、利用者さんに作業療法を提供してしまうと失敗体験を与えてしまう可能性があります。

失敗体験は強く患者さん、利用者さんの回復過程に影響してしまいます。
意図せず失敗体験をさせてしまうのは、作業療法士や作業療法士学生さんがやるべきことではありません!

作業工程に関しても注意していきましょう!



回数

段階付けを行なっていくには『回数』を意識していく必要があります。

・回数が多い→難易度が高い

・回数が少ない→難易度が低い

回数が多ければ多い程、難易度が上がり、回数が少なければ少ない程、難易度が低くなっていきます。

なお
なお
自分達に置き換えても同じ事が言えますよね!いきなり腕立て伏せ100回やって下さい。と言われるより腕立て伏せ10回やって下さい。と言われた方が難易度は低くなりますよね!

作業療法を行なっていくにあたって患者さん、利用者さんもいきなり多くの回数を言われてしまうと身構えますし心理的にもネガティブ(出来ない・無理)な心理になりやすいです。

結果、失敗体験を与えてしまったり、過剰に頑張らせてしまうことになります。

患者さん、利用者さんの状態を見ながら徐々に回数を増やしていけるようにしましょう!
作業療法を導入する際の回数には要注意です!

時間

段階付けを行なっていくには『時間』を意識していく必要があります。

・時間が長い→難易度が高い

・時間が低い→難易度が低い

作業を行う時間も大切な段階付けになります。

作業時間が長ければ長い程、集中力や体力が必要となります。逆に短ければ集中力も体力も多く必要としません。

よって作業時間が長い方が難易度が高くなり短い方が難易度が低いと言えます。

なので、短い時間から徐々に時間を長くしていく事が段階付けとなります。

なお
なお
自分達に置き換えても60分授業と90分授業なら、まだ60分授業の方が頑張れそうですよね!笑

作業療法1単位は20分ですがその中で何をどのくらい行うのかを考えて作業療法を患者さん、利用者さんに提供するのが重要です。
1つの作業を5分やるのか10分やるのかで患者さん、利用者さんに掛かってくる負担も大きく変わっていきます。

適切にペース配分を行うことで作業療法の効果も効率よく上げていく事が出来るようになります。

1つの作業を行う時間に注意していきましょう!

段階付けは様々な組み合わせの上で成り立っている

段階付けは様々な組み合わせの上で成り立っていることを正しく理解する事が重要です。
上記に述べてきたように段階付けと言っても様々な段階付けが存在します。

全ての難易度を一気に上げてしまうような行為は、患者さん、利用者さんの負担をドーーーンっと増やしてしまうことになり適切に作業療法の効果を出していく事が出来なくなってしまいます。

なお
なお
段階付けをするのなら1つずつ行なっていきましょう!

例えば

回数を上げるなら位置・時間・距離・重さなどは変えないようにする。

回数を上げ患者さん、利用者さんが適応してきたのなら回数はそのままに次は位置を高くし時間・距離・重さは変えないようにする。

など、段階付けは少しずつ、少しずつ上げていくのが基本です。

回数も上げ、位置も上げ、時間も伸ばし、距離も伸ばし、重さも上げるなど一気に全てを変えてしまうと何が原因で疲労が生じているのか・何が原因で代償動作が出始めたのかが分からなくなってしまいます。

一般素人が作業療法の真似事をしているのであればそれで良いかもしれませんが、作業療法士が原因を分析せず物事を進めていくのは絶対にNGなことです!

分析をしっかりと行えるようにする為にも一気に全ての段階を上げないように介入する事が大切です。

もう一度、お伝えします。
段階付けには様々な組み合わせの上で成り立っています。

1つ難易度を上げるのなら他の設定が変わっていないかは最善の注意を払って作業療法を行なっていきましょう!

それが作業療法の段階付けを行なっていく上では重要になります。

段階付けと言っても様々なものがあるのを理解する

いかがだったでしょうか!?
作業療法における段階付けを詳しく解説します|若手・学生さん必見と題して記事をまとめて参りました。

なお
なお
段階付け、段階付けと簡単に言いますが段階付けを行なっていくには非常に奥深いものがあります。

段階付け1つにも様々な段階付けがあることをこの記事を読んで頂けたのなら知って頂けたかと思います。

それを理解した上で段階付けを行なっていかないと治療・支援は失敗します。
自分の実施した作業療法で患者さん、利用者さんを確実に悪くしてしまいます。

そうならないように段階付けを行う際は最善の注意を払って行なっていきましょう!

是非、この記事を熟読して頂き、ご自身が何に対して段階付けしたのかを理解出来るようになって下さい!

そして適切に患者さん、利用者さんに作業療法を行えるようになって下さい!
応援しています!

以上、本日のブログでした。
最後まで目を通して頂き本当にありがとうございました。
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