リハビリコラム

【実録】ギランバレー症候群のリハビリ〜リハビリの実践〜

こんにちは!なおです!
このブログでは『心を軽くする考え方』『医療』『リハビリ』の3つを柱に情報発信を行っています。

ブログを通しあなたの人生を少しでも良い方向に変えていけるような“お手伝い”が出来るようになることが最大の目標です!是非、参考にして頂きながら今よりも良い毎日を歩んで下さい!

なお
なお
今回は、ギランバレー症候群のリハビリの実際に関して書いていきます。ギランバレーのことを深く知りたい方におすすめの記事です。 

ギランバレー症候群は、カンピロバクター(生にく)やサイトメガロウイルス(接触感染、性交渉など)などが原因で出現するとされている病気です。

症状としては、急性に発症する四肢の筋力低下、顔面神経麻痺、嚥下障害、複視などが出現する病気です重症例ですと呼吸筋麻痺を呈し人工呼吸器管理まで行う方もいらっしゃいます。

今回は、ギランバレー症候群の中でも四肢の筋力低下を生じ(自分で手足が動かせない状態)
かつ人工呼吸器管理まで行なった方を実際にリハビリ担当をし

身の回りのことや歩けるようになるまで回復していった方がいましたので実際に行なったリハビリの内容を書いていこうと思います!

なかなか、ググっても文献的なことや説明的なことが多く実録が少なかったので、ギランバレー症候群を呈した方やその家族、友人の方が少しでも参考になる記事があればいいなと思い実際に行なったことを書いていこうと思います。

なお
なお
ちなみに自分は作業療法士で急性期病院(総合病院)に働いています。

なので今回のお話は、ギランバレー症候群を発症した方が転院するまでのお話となっております。また個人情報に観点から個人情報に関することは、一切伏せてありますので、その部分に関してだけは、ご了承下さい。

ギランバレー症候群のリハビリ ICU編

ICUでのリハビリ内容です!

発症して1週間程度でリハビリオーダが入りました。
リハビリオーダーは作業療法、理学療法、言語聴覚療法でした。

患者さんと初めてお会いした時は手足を自力で動かすことができず、人工呼吸器、大量の点滴、動脈カテーテル、尿カテーテル、中心静脈カテーテルと呼ばれるものに繋がれていました。

喉に管が入っている為、もちろん喋ることも出来ません。

コミュニケーション方法としては、目でアイコンタクトを取る方法が中心でした(YESなら目を閉じるなど)。

まだまだ、発症したてだったので覚醒状態にもムラがあり、ぼんやりとしていることが多い状態でした。

1つこの患者さんの良かったなという所は、口からの挿管に関しては、比較的早い段階で管が抜け、喉を切って(気管切開)そこから管を通す方法に変わったことです。そのことで口腔や顔面は少しだけ自由に動かせうようになりました。
(自分自身でもリハビリの際にも)

そのタイミングで行なっていたリハビリ内容は以下のようになります。

作業療法では

午後にリハビリを実施
・生活リズムを整える為、覚醒の促し

・手足が硬くならないようにストレッチ

・手足を持ってあげながらの極軽い運動

・リアリティーオリエンテーション

・認知刺激

・コミュニケーション練習
を行なってました。

理学療法では

午前にリハビリを実施し
・呼吸リハビリ

・手足が硬くならないようにストレッチ

・手足を持ってあげながらの極軽い運動

・ベッドギャッチUP評価

・座位練習
を行なっていました。

言語聴覚療法では

・コミュニケーション練習

・口腔、顔面のストレッチ
を行なってました。

ICUという特殊な環境の為、人手も多く医師や看護師さんの協力を得ながらチーム医療を実践していました。

ギランバレー症候群のリハビリ 一般病床編

数週間〜1ヵ月程度経ち、全身状態が落ち着いてきたためICUから循環器・呼吸器一般病床へ転棟となりました。

患者さんの状態としては、手足はピクッと動かせる程度で、人工呼吸器には繋がれた状態。中心静脈カテーテルや抹消点滴、尿カテーテルは残された状態でした。

ギランバレー症候群のリハビリに関しては
強い筋力練習や強い疲労感に関しては、更に筋力低下や全身状態の悪化を呈してしまう可能性があるとされています。

リハビリは継続して行われていましたが、上記の為、強度な筋力練習や麻痺足痛練習は避け、次の日に疲労感が残らないように配慮しながらリハビリを進めていました。

発症して、ここまでのタイミングで1ヵ月を過ぎていました

一般病床に移ってからのリハビリ内容は、全身状態を見ながら人工呼吸器からの離脱、手足が自分で使えるようになるように練習、コミュニケーション手段の獲得、ベッドから起き上がる時間の延長、食事の再開、声を出せるようになるを目標にそれぞれ作業療法士、理学療法士、言語聴覚士、病棟看護師、主治医を含めてチーム医療を行なってました。

具体的に作業療法士、理学療法士、言語聴覚士が行なっていたこととして

作業療法は

・全身のリラクゼーション

・手足を持ってあげながらの極軽い筋力練習

・手足が少し動くようになってきてからポータブルスプリングバランサーの導入

・iPadを使用したコミュニケーション

・言語聴覚士共同での食事練習

・理学療法士共同での座位練習、移乗練習
を行なっていました。

理学療法は

・呼吸リハビリ

・手足を持ってあげながらの極軽い筋力練習

・ベッド上での動きの練習

・作業療法士と共同して座位の評価

・作業療法士と共同して車椅子移乗の練習
を行なっていました。

言語聴覚療法は

・口腔リハビリ

・嚥下リハビリ

・発声練習

・作業療法士と共同してコミュニケーション手段の獲得

・作業療法士と共同して摂食練習
を行なってました。

人工呼吸器は最終的に取ることが出来ましたが取れるまで約2〜3ヵ月程度要しました。

声に関しては、スピーチカニューレを使用し(気管切開をしても声が出せる道具)徐々に言葉でのコミュニケーションが取れるようになって行きました。

食事も最初はゼリーやお菓子、飴などから初めて行き、徐々にご飯を食べれるように言語聴覚士の方でリハビリを行い、そこに作業療法士である自分が環境設定や動作的なところでフォローアップしていました。

ベッドから起き上がり座る練習も最初は理学療法士が全介助で行なっていましたが、徐々に手足も使えるようになり自力で起き上がることが出来るようになって行きました。

ここまで至るのにご本人様が非常に努力されています
リハビリも慎重かつギリギリを攻めながらリハビリを展開していました。

医学的な細かい経緯は省いていますが、薬のコントロール、床ずれのコントロール、口腔ケア、栄養コントロールなどに関しても様々な部署がフォローアップしながら徹底したチーム医療を展開していました。



ギランバレー症候群のリハビリ リハビリ室編

リハビリ室でリハビリを行うまでに発症して約3ヵ月程度の時間を要しました。

リハビリ室でリハビリを行う段階での全身状態は

・車椅子で1時間程度座っていることが出来る

・自分では立てない、歩けない

・手足が少しずつ動かせる状態

・少しリハビリの負荷量を上げてしまうと非常に疲れてしまう

・食事を取るのにも多くの時間を要す
(静脈カテーテルは抜けて経鼻栄養と併用して経口摂取を行なっていた段階)

・トイレに行く、服を着るなどの動作はまだ行えない

の状態でした。
まだまだ家に帰るにあたっては、課題が多い状態でした。

ただ回復期リハビリテーション病院に転院するにも制限があり(国の制度上リハビリテーション病院に行ける期間が定められています。)行ける病院も少しずつ限られてしまっていた状態にもありました。

転院調整は、少し前からソーシャルワーカの方が動き初めていましたが
回復期リハビリテーション病院でのリハビリも厳しい状態となっていました。

患者さん・セラピスト共にそのまま急性期病院から在宅復帰も覚悟してリハビリを進めるようになったました。

リハビリ室に来てからの行なっていたことは
作業療法は

・全身のリラクゼーション、ストレッチ

・座った姿勢での腕の運動

・立つ練習

・食事動作の練習

・トイレや服を着る練習
を行なってました。

理学療法は

・全身の筋力練習

・立つ練習

・バランス練習

・歩行器歩行練習
を行なってました。

言語聴覚療法は

・摂食機能練習

・発声練習

・呼吸筋強化練習
を行なってました。

リハビリ時間は
体調を見ながら40〜60分を1日3回の頻度で行なっていました。

リハビリを行う中で
少しずつ体力が付いてきており
日常生活のことも少しずつご自身で行えるようになって行きました。

ギランバレー症候群のリハビリ 転院直前編

転院決定まで5ヵ月程度要しました。

最終的には回復期リハビリテーション病院ではありませんでしたが、なんとかリハビリ出来る病院が見つかり転院となって行きました。

入院して5ヵ月
非常に長い戦いを患者さん本人が頑張り勝ち抜いた瞬間でもありました。

その時の全身状態が

・自力で起き上がれるようになる

・支えなしで座っていることが可能になる

・掴まるものがあれば自力で立ち上がれるようになる

・杖〜手放しで歩けるようになる(フラフラは残存)

・食事の自己摂取が行える。歯磨きが自分で行える

・排尿、排便をトイレで行えるようになる

まで改善していました。

まだまだ回復段階であり、これからも改善していくことが大いに見込まれていました。
寝たきりで身体を動かせない状態からここまで改善できたことが、まず凄いことですよね!
患者さん本人も非常に頑張ってました。

転院間近で行なっていたリハビリは
作業療法は

・全身のストレッチ

・座った姿勢での腕の運動

・腕、指の筋力練習

・座った姿勢でのバランス練習

・立った状態での腕の練習

・トイレ、更衣、食事、整容、移乗など生活全般の練習
を行なっていました。

理学療法は

・全身の筋力練習

・歩く練習

・階段の練習

・床への立ち座りなどの応用動作練習
を行なっていました。

言語聴覚療法は

・音読の練習

・口腔内の筋力練習
を行なってました。

ICUにいる時と比較して大分動けるようになって来ては居ましたが急性期病院では完全に元通りまでとはなりませんでした。

セラピスト側は継続したリハビリを行なって行き1〜2年ぐらいかけて元通りになっていくのかなと想像しながら新たな病院へと送り出しました。

ギランバレー症候群のリハビリで思うこと

いかがだったでしょうか!?
ギランバレー症候群のリハビリに関して時系列で内容をまとめて参りました。

ギランバレー症候群は、治らない病気ではないので
患者さん自身がどれだけ頑張れるかにより、予後が大きく変わってくるものです。

ただ、運動負荷量を考慮しながら物事を進めて行かなければならないので
闇雲に運動すれば良くなるという問題でもないのでリハビリを行なっていくにしても非常に難しいことが予想されます。

チーム医療も非常に重要な鍵を握りスタッフ一丸で治療・支援を行なって行かないと
より効率的に改善していかないのも事実かなと思います。

全てのギランバレー症候群の方が型通りとはいかないと思いますが
1つの参考として今回のブログを役立てて頂ければ良いなと感じます。

本人もしっかりと頑張っていかなければならないですし
医療スタッフも全力で物事を考えていかなければならない病気です。

絶対に治る。絶対に乗り越えられる。

そう思って頂きながらリハビリに励んで頂ければ幸いだなと思います!

以上、本日のブログでした。
最後まで目を通して頂き本当にありがとうございました。
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