リハビリコラム

頚椎症急性期で作業療法士がやること|介入の進め方を説明します

こんにちは!なおです!
このブログでは『心を軽くする考え方』『医療』『リハビリ』の3つを柱に情報発信を行っています。

ブログを通しあなたの人生を少しでも良い方向に変えていけるような“お手伝い”が出来るようになることが最大の目標です!是非、参考にして頂きながら今よりも良い毎日を歩んで下さい!

なお
なお
今回は、頚椎症急性期で作業療法士が行うことを現役作業療法士が解説します。頚椎症の患者さんに対してどのように介入していけば良いか悩まれている方におすすめです。

前回は脳卒中のことに関して書きました!

脳卒中急性期で作業療法士がやること|介入の進め方を説明します脳卒中急性期で作業療法士がやることをまとめました。どんなことに注意するべきなのか、どんな評価をするのか、どんな治療を行うかなどが書いてあります。当事者の方、当事者の家族の方、若手作業療法士の方、リハビリ学生さんに必見です!...

基本的なリスク管理、評価、治療に関してまとめてあります!
興味のある方は是非、見てって下さい!

そして今回は、頚椎症のリスク管理、評価、治療に関してまとめていきたいと思います!
頚椎症は主に2つ存在します。

・頚椎症性脊髄症

・頚椎症性神経根症

となります。

頚椎症性脊髄症の方は脊髄自体が圧迫を受けていて頚椎症性神経根症の方は脊髄から出ている神経が圧迫されている状態になります。

なかなか頚椎を積極的に扱っている作業療法士もいないのかなと思いますし、頚椎症の作業療法の進め方がまとめてあるサイトも少ないのかなと思い、日々の臨床で実践していることを書いて行きます。

ぜひ、この記事を見て頂き作業療法士や理学療法士の方は臨床に活かして頂いたり当事者の方は、どんなリハビリの方法があるのか、どのような視点でセラピストが評価、治療を進めているのかを知って頂ければと思います!

何か分からないことがあれば、遠慮なしに連絡くださいね!!!

では、早速書いていきます!

頚椎症急性期で作業療法士がやること|リスク管理

頚椎症で作業療法士が行うリスク管理は以下のことが重要です!

・コルセットの装着

・過伸展

・頚部と体幹がバラバラに動いてしまう

・血圧管理

・迷走神経反射

が挙げられます。

なお
なお
これらのことを意識して患者さんと接していかないと患者さんの状態を悪くしてしまう可能性を高めてしまいます。

1つずつ解説していきたいと思います!

コルセットの装着

主治医に確認する必要があります。

確認することとしては

・術後はコルセットをつけるのか

・どのくらいの期間コルセットを装着するか

・仰臥位の状態でもコルセットをつけるのか

・コルセットの種類はソフトカラーなのかフィラデルフィアカラーなのか

これらは最初に聞いておくべきことになります。

病院によってはパスで入っていることもあるかと思いますが、主治医によって指示が異なることもあります。

毎回、しっかりと確認する必要があります。

ここの確認不足は、再手術を伴う大きな事故に繋がってしまったり患者さんに生活の指導を行うにあたっても適切なことが言えなくなってしまいます。

手術前に絶対確認しておくべきポイントになりますし、リスク管理の1つになります。

過伸展

手術方法にもよりかと思いますが、基本的には術後数ヶ月は伸展〜過伸展は禁忌です。

頚椎症性脊髄症も頚椎症性神経根症も脊椎を削ったり、動かしたりする手術になります。
術後は頚椎が脆かったり、組織周辺から出血をきたしやすい状態となります。

そのような状態で頚部を過伸展してしまうと神経を傷つける原因になってしまったり、血腫を作ってしまう原因になります。

結果、脊髄損傷を起こしてしまうリスクがあります。

脊髄損傷になってしまうと、手術ではもうどうにも出来なくなってしまいますし、患者さんの一生を台無しにしてしまう可能性が伴います。

術後の頚部伸展は絶対に注意してください!
(特にコルセットが取れた後などは要注意です)

頚部と体幹がバラバラに動いてしまう

これも頚部伸展と同じ要素です!

頚部と体幹がバラバラに動いてしまうことによって、神経を傷つけてしまったり、血腫を作る原因となってしまいます。結果、脊髄損傷を引き起こしてしまうリスクになります。

なので、寝返りを行う際は、両手で頚を抑えてもらい、頚と体幹が一緒に動くようにしてもらって下さい。

この動作を患者さんが上手く行えない人も中にはいます。
その様な方に対しては手術前に動作方法を伝え、動き方を確認出来ると良いかと思います!



血圧管理

絶対的に行なっていかなければならないリスク管理は血圧管理です。
手術によって、大量に血液が失われている可能性があります。

その様な方をベッドから起こそうとすると貧血の症状が起こりやすく意識消失に繋がってしまう恐れがあります。

意識消失を防ぐために

・こまめに血圧測定を行う

・開始時より血圧が-20mmHgになっていないか注意する

・本人に『めまい』『吐き気』『ぼーっとする症状がないか』を常に聞く

・Hbが8以上あるか

・Htが30以上あるか

・術後にどのぐらい血液データが変わっているか

・術中、どのくらい出血しているか

を作業療法を実施する前に調べて起きましょう!

これらに配慮しないで患者さんに作業療法を実施するのは、あまりにも無責任です。
患者さんの状態を悪くしてしまうので、やめましょう!!!

セラピストが最低限行わなければならないリスク管理です!

迷走神経反射

迷走神経反射とは、反射的に意識を失ってしまう症状です。
誘発されやすい状況として

・運動負荷量が高すぎる時

・頚部周囲をマッサージしている時

・強い痛みを伴う時

・力み過ぎてしまう時

などで起こりやすいです。

迷走神経反射は突然起こります。
一瞬で身体中が脱力してしまい患者さんは意識を失ってしまいます。

緊急コールとなってしまうことも多いです。
くれぐれも上記で囲ってある事柄に関しては注意してください。

迷走神経反射を引き起こさない様にする為にも患者さん初めから説明しておくのも良いかと思います!

頚椎症急性期で作業療法士がやること|評価

評価する項目をまとめたいと思います!

・どの神経領域の圧迫なのかをカルテから知る

・面接評価

・MMT

・握力

・つまみの力

・ROM

・筋緊張

・感覚検査
(しびれの有無、触覚、位置覚、運動覚、振動覚、温痛覚)

・腱反射、病的反射

・上肢、手指運動評価

・ミエロパチハンド(10秒テスト)

・時間があればSTEF

・協調性検査

・姿勢評価

・バランス評価

・現在困難となっているADL評価

を行う必要があります。

身体機能を評価する際は、漏れが無いように評価することが重要です。
術前と術後でどの様なところが変わったのかを確実に追える様にしましょう!!!

これが出来ないと、患者さんの状態が良い方向に向いているのか、それとも悪い方向に向いてしまっているのかが判断出来なくなってしまいます。

もし悪い方向に進んでいるのであれば、一秒でも早く主治医に方向しないと患者さんの状態がどんどん悪くなってしまいます。

全ての評価をきっちり取れるようにする必要があります。

そして、上記の評価項目でも作業療法士なので『面接評価』には特に力を入れて取り組む必要があります。

『家の状況を聞く』
『誰と住んでいるのか』
『今困っていることはないか』
『移動手段は何か』
『家の周りに階段、砂利道、坂道はあるか』
『風呂は週何回入っているか。浴槽には入るか。浴槽の高さはどのくらいか』
『車、バイク、自転車の運転はするか』
『趣味は何か』
『仕事をしているか』
『どの様なことをリハビリに望むか』

などをしっかりと聴取して、術後の作業療法展開に役立てて行きましょう!



頚椎症急性期で作業療法士がやること|治療

治療に関しては、理学療法士さんと役割分担を分けて進めていく必要があります。

自分が臨床で行なっている治療は主に

・頚部耐久性向上練習
(机上作業)

・頚部、肩甲帯のリラクゼーション
(臥位での徒手療法)

・頚部、体幹のストレッチ体操
(棒を使ったストレッチ)

・筋力練習
(重錘を用いた運動)

・上肢、手指巧緻性練習
(ペグやアクリルコーン、洗濯バサミ、ペットボトルを用いた運動)

・座位練習
(バランスマットを持ちた練習)

・立位バランス練習
(リーチ練習、片脚立位、タンデム立位)

・ADL練習

・ADL指導

・IADL練習

です。

理学療法士さんには、起居動作、立位動作、歩行練習、階段昇降練習、姿勢調整を任せています。

もちろん理学療法士さんがやっている治療を完全無視し作業療法ではやらないという訳ではありませんが治療の比重を上記の四角に囲ってある方を重くして作業療法を実施しています。

治療を展開していくにあたっては絶対に役割分担が必要になります。
同じものばかりやっていても非効率的ですし患者さんがなかなか退院出来なくなってしまいます。

まずはお互いの専門性を重要視して進めていきある程度、自分達の専門性を出し切ったところで、患者さんの身体や動作に関して弱い部分があれば徹底的に治療していく方が効率的かと思います!

その為、他部門とのコミュニケーションも治療を展開していくにあたっては重要なことになります!

頚椎症急性期で作業療法士がやることはたくさん!

いかがだったでしょうか!?
頚椎症急性期で作業療法士がやること|介入の進め方を説明しますと題してブログをまとめて参りました!

リスク管理、評価、治療の一連は全てつながりをもちバラバラに進めていくものではありません。全てつながりをもち、関係仕合ながら全体が存在します。

なので、治療を行いながらも常にリスク管理のことを考える必要があります。
また、作業療法のことだけに気を取られ過ぎて理学療法士、看護師、主治医との情報交換をおろそかにしてはいけません。

常に全てが絡みあって、1人の患者さんを支援していることを忘れてはいけません!

非常にやることも気をつけることも沢山ありますが術後はメキメキと良くなっていく人がほとんどです。

症状の改善も感じやすい疾患にもなります。
間近で良くなっていく姿をみることも出来ます!!!

ぜひ、このブログを読んで頂いたセラピストが上手くリハビリを進められることを祈っております!

以上、本日のブログでした。
最後まで目を通して頂き本当にありがとうございました。
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