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第56回作業療法士国家試験を作業療法士が解いてみた|解き方を伝授

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なお
なお
今回は、現役の作業療法士が昨年度行われた第56回作業療法士国家試験をいくつか解き、その解き方や問題の捉え方に関してお伝えしていきます!現役の作業療法士学生さんにオススメの記事になります!

作業療法士国家試験を解いていくにあたって記憶の整理思考を上手く組み立てていく必要があり、それが行えないと中々合格点を取るのが難しのが事実です。

実際に作業療法士国家試験に合格した事のある人がどのように問題を捉えどのように問題を解いているのかの思考過程を知る事は、ご自身の勉強方法に活かす事や国家試験の際にどうやって問題を解いていけば良いのかの参考になるかと思います!

国家試験の勉強の息抜きとしてこの記事をみてみて下さい!
今回は、午前中の問題の中から抜粋して解いていきます!

第56回作業療法士国家試験を作業療法士が解いてみた|解き方を伝授

では、早速問題を解いていきたいと思います!

午前 第6問

80 歳の女性。77 歳頃から物忘れが目立ち始め、今では歩行時のつまずきやすさ、書字の震えがある。日によって程度は異なるものの、自宅のテレビや窓、棚のガラス戸など、光沢のあるところに知らない人が映って見えるようになった。「テレビに知らない人の顔が見える」「変なおじいさんが裸でいる」などと家族に訴え、ガラス戸に向かって怒鳴る様子もみられた。家族と物忘れ外来を受診した。PET では頭頂葉から後頭葉の一部に糖代謝の低下が認められた。

作業療法士から家族へのアドバイスとして適切なのはどれか。

1. 部屋を薄暗くする。
2. テレビの音を大きくする。
3. 移動の際には車椅子を使用させる。
4. 興奮したときはきっぱりと幻覚であることを伝える。
5. 見えている内容を否定しないで気持ちを受け止める。

解説

この問題を解いていくにあたっては、どの認知症なのかを見極めていく事が大切です。
上記の問題のキーポイントとなるのが『物忘れが目立つ』『知らない人が映って見える』『物忘れ外来』『糖代謝の低下』が挙げられます。

悩む点としてはアルツハイマー型認知症なのかレビー小体型認知症なのかという所ですが、物忘れという記銘力の低下、高齢発症、前頭葉の糖代謝低下とい観点からアルツハイマー型認知症である事が高いと推測できます。

アルツハイマー型認知症の方への支援では、支持的な支援・否定しない支援というものが重要となり、そこから導き出せる答えとしては5になります。

ちなみに
1は刺激量を少なくしても症状は治まりません。2は刺激量を多くすると混乱を招く可能性が高くなります。3は歩けるのに車椅子を使うのはOTのやることではありません。4は幻覚と伝えても本人には見えているものなので受け入れてくれませんし理解もしてもらえません。

午前 第7問

66 歳の女性。左変形性股関節症。後方アプローチによる人工股関節全置換術を受けた。全荷重で術後リハビリテーション中である。

退院後の生活指導として正しいのはどれか。

1. 和式トイレを使用する。
2. 椅子に座る際には足を組む。
3. 椅子は通常よりも低いものを選ぶ。
4. 床のものを拾うときには非術側を前に出す。
5. 端座位で靴にかかとを入れるときは外側から手を伸ばす。

解説

この問題を解いていくにあたっては脱臼肢位を正しく理解しておく必要があります。
後方アプローチによる人工股関節全置換術での禁忌肢位は屈曲、内転、内旋過屈曲となります。

逆に前方アプローチによる人工股関節全置換術では伸展、内転、外旋が禁忌となります。

これが理解できていれば答えは4になります。

ちなみに
1はう○ちんぐスタイルになるので脱臼します。2は屈曲・内転方向に入るので脱臼する可能性があります。3は過屈曲になり脱臼します。5は屈曲・内転・内旋の姿勢になり脱臼肢位になります。



午前 第11問

80 歳の女性。2年前に夫と死別し、平屋の持ち家に1人暮らし。3か月前に屋内で転倒し、右大腿骨頸部骨折で入院した。人工骨頭置換術後の ADL は杖歩行で、入浴のみ見守りでその他は自立し自宅退院となった。退院時のHDS-Rは28点であった。要支援1と認定され、通所リハビリテーションを利用するにあたり、担当作業療法士が自宅訪問することとなった。

初回訪問時の対応で正しいのはどれか。

1. 住宅改修を提案する。
2. 年金受領額を聴取する。
3. 訪問作業療法を勧める。
4. 夫の死亡理由を聴取する。
5. 生活の困りごとを聴取する。

解説

作業療法国家試験でもこんな問題も出ます。笑
これは完全にサービス問題になり、こういう問題を落としてしまうと合格は出来ません!
この問題を解いていくにあたってキーポイントとなるのは『概ね自立している』『要支援1』『初回訪問』という所です。

要支援1というのは殆ど身の回りのことは自分で出来るレベルです。むしろ訪問リハビリも要らないレベルの状態である可能性が高いです。

よって初回訪問で重点的に聞いていかなければならないのは5になります。

ちなみに1は時期尚早です。2は聞く意味なしです。聞いたところで何?という話になります。3は上記にも述べましたがリハビリが要らないレベルの人なのでリハビリを進める必要もないです。4は初回で聞く意味は?となります。

午前 第14問

50 歳の男性。アルコール依存症。大学を卒業後、就職したころから飲酒が始まる。転勤で一人暮らしになってから飲酒量が増加し、仕事もやめ昼夜問わずに飲み続けるようになった。その後、精神科病院を受診し入退院を繰り返す。主治医には「酒はもうやめます」と言いながらも退院後に再飲酒していた。作業療法士には「酒をやめたいのは本当だが、退院しても仕事が見つからないのでつい飲んでしまう。何とかしてほしい」と話す。

この患者の心理状態として最も適切なのはどれか
1. 否 認
2. 共依存
3. 両価性
4. 自己中心
5. 刹那主義

解説

この問題はしっかりと防衛機制のことや精神領域の言葉の意味を知っていないと容易に間違ってしまう問題です。引っ掛け問題としてはgoodな問題です。笑

この問題を解いていくポイントとしては患者さんの訴えていることをどれくらい理解できるかにあります。

主治医に「お酒はもうやめます」とい発言ありながらも飲酒してしまう。作業療法士には「酒をやめたいのは本当だが、退院しても仕事が見つからないのでつい飲んでしまう。何とかしてほしい」と訴えている状態にあります。

この患者さんは本当にお酒をやめようと努力する気持ちがあるのにやめられない状態になります。やめようとする意志はあるんです。ここを汲み取れないと間違った選択肢をしてしまう可能性があります。よって答えは3になります。

両価性というのは別名アンビバレンスと言われるものです。ひとつの物事に対して、逆の感情を同時にもつことを意味します。お酒をやめたいけどやめられない。これが当てはまります。

ちなみに
1だとアルコールをやめられないのは自分のせいじゃないんだになります。2だと他人ばかりに焦点があたってしまっている状態になるので意味不明です。4だと酒をやめるのもやめないのも自分の自由だろという発言があるはずです。5だと今さえよければ全てよしという発言があったりします。

午前 第16問

19 歳の女性。大学1年生。小学生の時より、水泳に秀でていて競技大会では常に優勝を競うほどであった。しかし、高校時代にスランプに陥り当時身長160cm、体重58 kg であったが体重を落とせば記録が伸びると思い込み、ダイエットをしているうちに無月経になり、気づくと体重32 kg になっていた。心配した母親が本人を説得し病院の精神科外来を受診したところ低栄養で危機的状況にあると医師が判断し精神科病棟への入院を勧めたが、病識のない本人は納得せず、母親の同意による医療保護入院となった。その後作業療法に参加するようになり、1週間が経過した。

患者に対する作業療法士の関わり方で適切なのはどれか。
1. 集団作業療法を勧める。
2. 食事の摂取を積極的に促す。
3. 現在取り組めていることを認める。
4. 高校時代のスランプについて深く聞く。
5. 食べ物を隠れて捨てるのを見つけたら叱る。

解説

今まで優秀だった人が挫折をきっかけに間違った方向に進んで行ってしまうことは容易に起こり得ることです。。この症例の方もスランプを経験しそれを克服する為に一生懸命努力をしようとした結果、気づいたら摂食障害になっていたとい状況かと思います。

普通の人であれば痩せれば記録が伸びるなんて絶対思わないことでもスランプを克服したい一心のなか「痩せている人の方がタイムが良い」や「痩せたらタイムが伸ばせる」という噂話を聞いたりしてしまうと、スランプを脱したい気持ち一心で行動してしまい自分でもダイエットのやめどきが分からなくなってしまったり異常な状態になっていることに気づけなかったりしてしまいます。

これが摂食障害の怖い所です。

作業療法国家試験を解いていくにあたってはバックグラウンドを想像しながら、どういう過程でその人が過ごしてきているのかを考えて解くということも重要になります。

そしてこの問題を解いていくキーポイントは上記の内容とOTが始まって1週間という所にあります。1週間というのは、まだ状況が正しく理解出来ていない状態にあったり、何がなんだか分からない状態にあったり、人を信用しきれない状態にあります。それを踏まえて考えれば3が答えになります。

ちなみに
1だと時期尚早です。2だと現状を受け入れられていない可能性があり拒否を示される可能性が高いです。4だとトラウマを想起させることになり摂食障害の状態を悪くしてしまう可能性があります。5だと作業療法士との信頼関係も出来ていない為、拒否を受けたり反発されてしまう可能性がありますので×です!

作業療法国家試験を解くコツ

作業療法国家試験を解くコツは、問題をしっかりと読み込み設問1つ1つがなぜ不正解なのかなぜ正解なのかを自分なりに解説できるようになる事が大切です。

その為に

・出題者の意図を読み取る

・根拠を明白化する

・難しく問題を捉えすぎない

・楽しみながら解ければ最高

・6割取れば合格だということを忘れない

を意識して試験に取り組めると合格にグッと近づけるかと思います。

国家試験は落とすための試験ではありません。
作業療法士として適正な知識を持っているかの確認をする試験です。

人の命を預かるのだから最低限の知識は保有してなければなりません!

100点を取ろうとしなくても60点で合格はもらえます。
肩の力を抜いて完璧を求めすぎずに勉強を進めていきましょう!!!

頑張れば必ず作業療法士になれる

いかがだったでしょうか!?
第56回作業療法士国家試験を作業療法士が解いてみた|解き方を伝授と題して記事をまとめて参りました。

今回は、少しだけしか問題には触れませんでしたが基本的に上記のように問題を解釈し1つずつ、なんで正解なのかなんで不正解なのかを説明しながら国家試験は解いていきます。

なお
なお
これが行えるようになれば必ず国家試験を合格する事ができます!

国家試験の勉強をしていくにあたっても類似問題を集めて、それに対して『なんで正解なのかなんで不正解なのか』を理解しながら進めていくことで必ず自分と同じような形で問題を解いていく事ができるようになります。

なので来年の国家試験まで心折れる事なくコツコツやっていきましょう!
コツコツ積み上げられた人の元には必ず合格が舞い降りてきます。

頑張れば絶対に作業療法士になれます!
この記事を読んでくれ得た人全員が作業療法士になれることをお祈りしております!

以上、本日のブログでした。
最後まで目を通して頂き本当にありがとうございました。
その他にも

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少しでもあなたの未来が良い方向に向かうことを祈っています。
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